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「閻魔庁の籔医竹軒」 第一話 弁明

「閻魔庁の籔医竹軒」 第一話 弁明閻魔大王 藪医竹軒はこの世にもはや思い残すことは一つもないと、そう思って死んだのだが、ふと気がつくとあたりは真っ暗。どこに自分は…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第二話 墓穴のミケランジェロ

「閻魔庁の籔医竹軒」 第二話 墓穴のミケランジェロミケランジェロ頭部大理石彫 墨絵-佐賀純一 大きな鬼は無限に続くかとも思える赤黒い廊下を先へ先へと行く。後…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第三話 ダビンチ

「閻魔庁の籔医竹軒」 第三話 ダビンチ ひどい風が吹き荒れて土埃が舞い上がり、垂れ込めた雲も地獄の釜から吹き上げる火炎もいっしょくたんになって真っ黒い渦巻きに吸い込まれ、…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第四話 ハムレット 

「閻魔庁の籔医竹軒」 第四話 ハムレット 深い闇の底で誰かがしゃべっている。地獄の亡霊だろうか、それとも、生前の苦しみから離れられず呻いている魂だろうか。昔ローマ…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第五話 楊貴妃と虞美人

「閻魔庁の籔医竹軒」 第五話 楊貴妃と虞美人普賢菩薩 墨絵模写佐賀純一 ただならぬ音が聞こえるので庵の外に出てみると、伍官王がお供の鬼たちを従えて象に乗ってやって…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第十一話 小泉八雲

「閻魔庁の籔医竹軒」 第十一話 小泉八雲 思い掛けない訪問者だった。十歳ぐらいの男の子が戸口に立って、利発そうな眼差しでこっちを見ていた。その目は淡い海の色で、井桁模様の…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第六話 南無好女多得

「閻魔庁の籔医竹軒」 第六話 南無好女多得 死んで地獄にきたというのにやたらと忙しい。患者がつぎつぎと訪ねてくる。生前は盆も正月もなく、晩酌をしみじみと味わう暇もなかった…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第七話 耳塚

「閻魔庁の籔医竹軒」 第七話  耳塚 王義之の千字文を手習いしているうちにいつの間にかうとうととしていたが、どこからか数え歌が聞こえてきた。ああ、子どもたちの声だ、数え歌…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第八話 無可有の郷

「閻魔庁の籔医竹軒」 第八話  無可有の郷 眠っていると思っていたが、気がつくと五、六歳の子どもと母親が庵の入り口に立っていた。「あなた方はどこから来たのです」…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第九話 閻魔大王

「閻魔庁の籔医竹軒」 第九話  閻魔大王 眠っていると思っていたが、気がつくと五、六歳の子どもと母親が庵の入り口に立っていた。「あなた方はどこから来たのです」…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第十話 ダビンチ(ダ・ヴィンチ)

「閻魔庁の籔医竹軒」 第十話  ダビンチ(ダ・ヴィンチ) ひどい風が吹き荒れて土埃が舞い上がり、垂れ込めた雲も地獄の釜から吹き上げる火炎もいっしょくたんになって真っ黒い渦…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第十二話 鳥獣戯画(15番・黄連解毒湯)

「閻魔庁の籔医竹軒」 第十二話  鳥獣戯画(15番・黄連解毒湯) 若い男だ。しかも美しい。そして何かに取り憑かれているような眼差し・・・誰かに似ている。誰だろう・・・ラフ…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第十三話 北斎(16番・半夏厚朴湯)

「閻魔庁の籔医竹軒」 第十三話  北斎(16番・半夏厚朴湯) 「診てもらいたい者がいるからきてくれ」と鬼が呼びに来たので庵の外に出ると鬼の姿はどこにもない。見慣れた地獄の…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第十四話 遊女と忠度(ただのり)

「閻魔庁の籔医竹軒」 第十四話  遊女と忠度(ただのり) 竹軒が二度目に北斎の長屋を訪ねた時、六軒長屋は病人だらけだった。「どうも困っちまった。阿栄がそっちこっち…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第十五話 ハムレット(83番・抑肝散加陳皮半夏)

「閻魔庁の籔医竹軒」 第十五話  ハムレット(83番・抑肝散加陳皮半夏) 暗い闇の中で誰かがしゃべっている。鬼である様子はない。地獄の亡霊だろうか、それとも、生前の苦しみ…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第十六話 垓下(がいか)の歌・・・・(23番・ 67番・女神散 25番・桂枝茯苓丸)

「閻魔庁の籔医竹軒」 第十六話  垓下(がいか)の歌・・・・(23番・ 67番・女神散 25番・桂枝茯苓丸) ただならぬ音が聞こえるので庵の外に出てみると、伍官王がお供の…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第十七話 草薙剣(くさなぎのつるぎ) (27番・麻黄湯 28番・越婢加朮湯 29番・麦門冬湯 30番・真武湯 31番・呉茱萸湯)

「閻魔庁の籔医竹軒」 第十七話  草薙剣(くさなぎのつるぎ)   (27番・麻黄湯 28番・越婢加朮湯 29番・麦門冬湯  30番・真武湯 31番・呉茱萸湯) 竹軒は夢を…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第十八話 蓬莱(ほうらい) (108番・人参養栄湯)

「閻魔庁の籔医竹軒」 第十八話  蓬莱(ほうらい)   (108番・人参養栄湯) 駒下駄の音が岩道に響く。いつも薬研を磨りながら足音を聞いている日々を送っているので、どの…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第十九話 盛遠 (もりとお) (32番・人参湯)

「閻魔庁の籔医竹軒」 第十九話  盛遠 (もりとお)    (32番・人参湯)  冬は山伏修行せし 庵と頼めし木の葉も紅葉して 散り果てて 空寂し  褥と思いし苔…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第二十話 マキャベリ (本日休診 処方なし:審問見物のため外出)

「閻魔庁の籔医竹軒」 第二十話  マキャベリ    (本日休診 処方なし:審問見物のため外出)  道のべの 野原の柳 したもえぬ あはれ嘆きの 煙くらべに 薬研を…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第二十一話 ミケランジェロ (75番・四君子湯  76番・竜胆瀉肝湯 40番・猪苓湯  77番・帰膠艾湯)

「閻魔庁の籔医竹軒」 第二十一話  ミケランジェロ  (75番・四君子湯  76番・竜胆瀉肝湯  40番・猪苓湯  77番・帰膠艾湯) 生薬を磨っているとばかり思っていた…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第二十二話 房 事 (88番・二朮湯 89番・治打撲一方 91番・温胆湯 92番・滋陰至宝湯 93番・滋陰降火湯 95番・五虎湯 96番・柴朴湯 128番・啓脾湯)

「閻魔庁の籔医竹軒」 第二十二話  房 事 (88番・二朮湯 89番・治打撲一方 91番・温胆湯 92番・滋陰至宝湯  93番・滋陰降火湯 95番・五虎湯 96番・柴朴湯 128…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第二十三話 英雄 (48番・十全大補湯 68番・薬甘草湯 69番・茯苓飲)

「閻魔庁の籔医竹軒」 第二十三話  英雄 (48番・十全大補湯 68番・薬甘草湯 69番・茯苓飲) 「お前に会いに来た者があるぞ」と鬼の声がするので外に出てみると鬼の姿は…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第二十五話 浦島(87番・六味丸 86番・当帰飲子)

「閻魔庁の籔医竹軒」 第二十五話 浦島(87番・六味丸 86番・当帰飲子) 賽の河原の白砂を踏んで、白髪の老人と若い女が連れだって歩いてくる。女はゆったりと長い髪を腰の下…

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「閻魔庁の籔医竹軒」 第二十四話 白狐(番外・続命湯)

「閻魔庁の籔医竹軒」 第二十四話 白狐(番外・続命湯) 竹軒が閻魔庁に呼ばれて行くと、若い男が床に倒れていた。ひどく痩せこけ、意識を失った顔に苦悶の色が見える。「…

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佐賀純一 著作集

  • 『朝日の「記事」はどこまで信じられるか 正義と偽善・その虚実を衝く 一市民の素朴な疑問』日新報道 1978年
  • 『通運丸と黒田船長 消えた蒸気船とそのころ』筑波書林 1980年 ふるさと文庫
  • 『元年者たち』山手書房 1982 Kindle版
  • 『職人くさぐさ 伝聞ノート1』編 筑波書林 1982年 ふるさと文庫
  • 『商人と街ぐらし 伝聞ノート2』編 筑波書林 1982年 ふるさと文庫
  • 『町場のおんなたち 伝聞ノート3』編 筑波書林 1982年 ふるさと文庫
  • 『霞ケ浦水村譚 第1部 (夜のおどし)』筑波書林 1983年 ふるさと文庫
  • 『霞ケ浦水村譚 第2部 (志戸崎風景)』筑波書林 1983年 ふるさと文庫
  • 『霞ケ浦水村譚 第3部 (洲曳きの浜)』筑波書林 1983年 ふるさと文庫
  • 『木碑からの検証 戦時下の土浦駅構内事故』筑波書林 1984年 ふるさと文庫
  • 『浅草博徒一代 伊地知栄治のはなし』筑摩書房 1989年 のち文庫、新潮文庫 Kindle版
  • 『氷雪のバイカル 革命下のシベリアを見た少年』筑摩書房、1990年
  • 『歓喜天の謎 秘められた愛欲の系譜』図書出版社 1992年
  • 『ちじらんかんぷん 庶民の生きた明治・大正・昭和』図書出版社 1992年
  • 『田舎町の肖像』図書出版社 1993年 Kindle書籍版
  • 『失なわれた村の日々』図書出版社 1993年 Kindle版
  • 『戦火の記憶 いま老人たちが重い口を開く』筑摩書房 1994年 「戦争の話を聞かせてくれませんか」新潮文庫
  • 『霞ケ浦風土記 風、波、男と女、湖の記憶』常陽新聞社 1995年
  • 『古事記変容する神々』東洋医学舎 2005年
  • 『小説蛭子 古事記より』東洋医学舎 2005年
  • 『患者さんは名医』東京新聞出版局 2006年 Kindle版
  • 『筑波山愛ものがたり』常陽新聞新社 2006年
  • 『坊っちゃん 漢方流』東洋医学舎 2006年
  • 『藪医竹軒行状記』東洋医学舎 2008年
  • 『火と文明の神迦具土を見よ』新幹社 2011年